ED(勃起不全)に対する鍼灸治療

- update更新日 : 2022年04月30日
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EDは日本人の深刻な問題…

ED(勃起障害)は他人事ではなく身近な症状の一つだと分かるデータがります。1998年260万人だったEDの数が20年間で、約2.5倍の数になっています。

1998年の調査 2019年の調査
完全型ED
約260万人
完全型ED
約644万人
日本人男性30歳〜79歳のED有病者数
(全国推計)

(様々なインターネット調査から抜粋)

更には肉体的に元気な20代~30代でもEDの悩みを抱えている方がおり、軽度EDも含めると20代~30代の2.5人に1人はEDに対して不安を抱えている事になります。

  軽度ED 中等度ED 完全ED 合計
20代  26.07% 8.93% 5.71% 41.3%
30代 28.61% 7.72% 5.82% 42.15%

軽度ED=完全勃起を維持しにくい。
中度ED=勃起回数が減り、勃起維持が弱くなる。
完全ED=十分な勃起が出来ない。

日本においてEDなど性的な話は笑い話になりがちですが、実際にEDに悩んでいる方にしたらとても笑える話ではありません。EDの肉体的悩みはメンタル面にも影響して、自信を持てなくなり自尊心をも失う事に繋がってしまいます。
またそのパートナーである女性も、女性として「自分に魅力がないのか…」と自信を失う事にも繋がってしまいかねません。

この問題を抱える人が年々増えてきている事、また若い層の多くが抱える問題でもある事を考えたら、しっかり改善する方法を取らないと肉体的にも精神的にも不健康な日本人が増えていってしまいます。

EDを起こすメカニズム

EDを起こす病気として、加齢、糖尿病、心血管疾患、高血圧、テストステロン低下、慢性腎臓病と下部尿路症、神経疾患など挙げられ、他にも肥満や運動不足、喫煙などもEDに繋がる要素考えられています。

これらの病気などからして考えられる大きな原因は『血行障害』『ホルモン分泌低下』『自律神経の乱れ』の3つで、それぞれの影響を個別で説明して行きます。

血行障害による影響

EDに使われる薬としてバイアグラ、レビトラ、シアリスなど有名ですが、これらは陰部への血流を促すことで勃起を引き起こすものです。また、勃起とは男性の陰部(陰茎海綿体)に血が集まり充血した状態になる事から考えても、血の巡りが悪いと勃起障害(ED)に繋がってしまうのです。

ホルモン分泌低下による影響

男性ホルモンの代表的なものとしてテストステロンが有りますが、テストステロンは性的興奮、勃起、射精など一連の生殖活動に重要な関りを持っています。逆に言えばテストステロンが分泌されなければ、性的興奮、勃起、射精などの生殖活動を行う事が出来ないと言えるのです。

自律神経の乱れによる影響

自律神経は交感神経(興奮状態)と副交感神経(リラックス状態)をコントロールするもので人が生きていく上でとても重要な生体メカニズムです。

その自律神経ですが男性の性的興奮ー勃起ー射精など生殖活動のコントロールを行う重要な役割も担っています。

男性体のメカニズム

自律神経が乱れ男性の生殖活動を上手くコントロール出来なければ、勃起障害(ED)を引き起こしてしまいます。

♂活力をあたえる鍼灸療法

EDの原因として考えられる3大要素『血流障害』『ホルモン分泌低下』『自律神経の乱れ』ですが、これら3つの原因に対して体に負担なく副作用なくアプローチできるのが鍼灸です。その効果をそれぞれに対して説明いたします。

鍼灸による血流改善

鍼灸によって血流が良くなるのは体の軸索反射という神経反応により、血流が良くなると言われています。体にとって鍼灸の刺激は異物による攻撃とみなし、その刺激を受けた部分の血流を良くして悪い状態を改善するというものです。

この軸索反射という神経反応を利用する事で男性器に直接鍼灸を施さなくても、勃起に関わるツボを刺激する事で骨盤神経(勃起神経)への軸索反射で男性器(海綿体)への血流が良くなるというものです。

鍼灸によるホルモン分泌改善 

腎兪、気海、大赫など男性ホルモン(テストステロン)を分泌させるのに有効とされているツボです。これらは先ほどの軸索反射と似たような反応で、精巣(睾丸)に直接鍼灸を施さずとも関連ツボを刺激する事で、精巣から男性ホルモン(エストロゲン)が分泌されるというものです。

鍼灸の特徴は効果を求める部位を直接刺激をせずとも関連するツボを刺激する事で、神経を介して間接的に効果を発揮出来るところです。

鍼灸による自律神経の安定化

鍼灸が最も得意とするのが自律神経の安定化だと思っています。元々『気の流れを良くして症状改善』して行く療法でしたが、科学の進歩で『気の流れ=神経伝達』と関連付けられる発表が多くなってきています。

そういった事や病院で治らなかったものが鍼灸で治るのを考えた時に、鍼灸の効果は自律神経を介して体の不全を整えて行く効果があると言えると思います。

自律神経が乱れてリラックス状態と興奮状態の切り替えが上手くいかない事でEDに繋がり、鍼灸で自律神経の整え切り替えがスムーズに行われる状態に戻すことで勃起力を取り戻すことが出来ると思います。

他の症状に対しもですが、鍼灸の効果は自律神経を整える事で症状改善に繋げていくのに効果的だと20年の臨床経験から思うところです。

EDに有効との研究結果も

2017年に中国武漢市にある華中科技大学において行われた研究で、ED有病者に鍼施術を施し60%の人に改善がみられたとの結果が出ています。心因性EDに関しては68.4%の改善との結果です。60%台の効果しかないと思われる方もいるかもしれませんが、これは6週間での研究結果ですし、鍼を刺す部分も限定された中での結果です。

個人個人にあったツボ(経穴)に的確な刺激量を施す施術を行えば、もっと効果的な改善を計れると思います。
さらに言えば、EDを改善する為に体質を変えると考えたら、3ヵ月ほど続けることでより有効な反応を伺えると思います。